「人といると疲れてしまう」
「本当は言いたいことがあるのに、うまく伝えられない」
「相手に合わせすぎて、あとで自分を責めてしまう」
アダルトチルドレン(AC)の方から、こうしたお悩みをよく伺います。
頭では「もっと自然に人と関われたらいいのに」と分かっていても、心と体がついていかない…。 その背景には、あなたが自分の感情とどう付き合ってきたかが深く関わっています。
そこで今日は、「第一感情」と「第二感情」という二つの感情についてお話ししたいと思います。
これを知るだけで、人間関係のしんどさの理由が「なるほど」とつながり、解決の一歩を踏み出せるかもしれません。
◆ 第一感情とは?
第一感情とは、出来事が起きたときに最初に湧き上がる**「本当の感情」**のことです。
例えば…
大切に思っている人から冷たい態度をとられた → 「悲しい」
頑張ったのに認めてもらえなかった → 「悔しい」
信じていたのに裏切られた → 「寂しい」「不安」
これが第一感情です。とても自然で、人間らしい心の反応ですね。

◆ 第二感情とは?
ところが、第一感情をそのまま表現するのが難しい人がいます。
特に、幼いころから親の顔色をうかがって育ったACの方は、悲しみや寂しさを素直に
出すことが怖かったり、禁止されていたりしました。
するとどうなるか。
第一感情を押し込め、「怒り」「イライラ」「不安定さ」といった別の感情に
すり替えてしまうのです。
これが「第二感情」です。
例えば…
- 本当は「寂しい」のに → 怒って相手を責めてしまう
- 本当は「怖い」のに → 強がって笑ってしまう
- 本当は「悲しい」のに → 無表情になって距離を置く
結果として、人間関係がすれ違い、さらに孤独感が深まってしまいます。

◆ ACの人が人間関係で苦しむ理由
ACの方は、子どもの頃から『本音の感情』を出すことは よくないことだと感じていて、
素直に表現できずに心の奥にしまい込んでしまいました。
- 泣くと「そんなことで泣くな」と言われた
- 怒ると「親に逆らうな」と抑え込まれた
- 甘えると「我慢しなさい」と突き放された
その経験から、「悲しい」「寂しい」といった第一感情を心の奥にしまい込む クセがついてしまっているのです。
代わりに、第二感情を使って人間関係をなんとかやり過ごそうとしてしまう・・・
でも、これが大人になった今も続いていると、どうでしょうか?
- 相手に本音を伝えられない
- 感情が爆発して人間関係が壊れてしまう
- 無理に抑えて心身が疲れきってしまう
「どうして私は人とうまくいかないんだろう…」
そんな苦しさが続いてしまうのです。
♦あなたの人間関係がうまくいかない本当の理由
第一感情を隠し、第二感情で対応するパターンは、人間関係にさまざまなひずみを生みます。
●本当の自分を理解されない
怒りばかりを表現していると、周りはあなたの奥にある「悲しみ」や「寂しさ」に気づいてくれません。その結果、「いつも怒っている人」というレッテルを貼られ、孤立してしまうことがあります。
●自分でも本当の気持ちが分からなくなる
第一感情を無視し続けると、次第に自分でも「何が悲しかったんだろう?」と分からなくなってしまいます。自分の気持ちが分からなければ、本当に心から満たされる人間関係を築くことはできません。
●相手との間に深い溝ができる
怒りをぶつけられた相手は、あなたの本当の気持ちに気づけないため、ただ「攻撃された」と感じてしまいます。これでは、お互いの心が通じ合うことはなく、かえって溝が深まるばかりです。
このパターンは、あなたが意識的にしていることではありません。
幼い頃から身についた、自分を守るための「心の癖」なのです。
この癖がある限り、人間関係の悩みは尽きないかもしれません。
「もう疲れた」
「どうせ私なんて」
と諦めてしまう前に、一度立ち止まって、あなたの心の声に耳を傾けてみませんか?
大切なのは、第二感情の奥にある「第一感情」に気づいてあげること。
- 怒ってしまったとき、本当は「寂しい」からかもしれない
- 相手に冷たくしたとき、本当は「怖い」からかもしれない
- ふさぎこんでしまったとき、本当は「悲しい」からかもしれない

こうした気づきが少しずつ増えると、人間関係における自分のパターンが見えてきます。
そして、「本当の感情をどう扱えばいいのか」が分かるようになっていくのです。